約束
 何を考えているのか分かりやすい両親なので、生活の節々でその一面がのぞく。

 私は母親の買ってきたケーキを食べ終わると、紅茶を飲む。

「ごちそうさま」

 さっきまで食べていたチョコレートケーキは木原君へ買ってきたものだった。私の分のケーキはあるが、おまけのようなものだ。

「最近、なんで毎日ケーキがあるんだろうね」

 彼はケーキを食べながら、首を傾げていた。

「あまり気にしなくていいよ」

 私は木原君の素朴な疑問に適当な理由を見繕い笑って返すことしかできない。
< 247 / 546 >

この作品をシェア

pagetop