約束
 彼の勉強を邪魔していいのかわからなかったが、木原君がそうしたいというなら、私が否定する理由もない。

 私たちはリビングに行くと、ご飯の支度をする。ごはんといってもそんなに難しいものは作れない。簡単にシチューとスープでも作ろうと思っていただけだ。私が木原君にそれで良いか聞くと、彼は笑顔で答えてくれる。

「食事が終わった後の後片付けをお願いして良い?」

 彼はその言葉にホッとしたような表情を浮かべる。

 野菜を洗い、包丁で皮をむいていく。その様子を木原君がじっと見ていた。
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