約束
「包丁でむけなかったから、皮むき機とかつかってもいいと思うんだよね。慣れればできるようになるから」

 私は流し台の脇にあるたなから、皮むき機を取り出した。木原君に渡すと、彼はそれで皮をむいていく。

「こういうのって家にあったのかな。母さんが使っているのを見たこともないけど」
「あるとは思うよ。私のお母さんとかはめったに使わないんだけどね」

 そんな感じで調理を始めたため、完成する頃には日が沈んでいた。

「ごめん」

 彼は自分の責任だと思ったのか、頭をさげていた。
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