約束
「そんなことないよ。手伝ってくれてありがとう。楽しかったから」

 私は木原君がむいてくれたりんごを口に運ぶ。このりんごもりんごで、どこかで見たのか、皮を一本の紐のようにむこうとしていたようだった。

 そうやってむける人もいるんだろうけど、別にそうする必要もないというと、思ったよりすんなりと皮をむいていた。

「でも、思ったより簡単だったでしょう」

「そうだね。毎日するのは大変そうだけど」

 彼の言葉に苦笑いを浮かべる。
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