約束
第十五章 溢れ出た気持ち
 私は手元の携帯を見た。誰からの連絡を待っているわけじゃない。

 ただ、木原君の態度が変わったのだ。

 私に対しては相変わらず優しい。だが、彼から一馬さんの名前が出てくる機会が減った。

 喧嘩をしたのだろうか。

 そう思っても、踏み込む勇気がなかったのだ。

 その時、ベランダで物音が聞こえる。

 カーテンを開け、身を乗り出すと木原君がベランダに立ち、空を見上げるのに気付いた。
< 282 / 546 >

この作品をシェア

pagetop