約束
 余計なおせっかいかもしれないという気持ちが何度も心の中に湧いてきて、言おうとした言葉を飲み込んでしまう。

 それを何度も繰り返した時、木原君の部屋から携帯の着信音が聞こえた。

 彼はぴくりとも動こうとしない。

 彼は空を仰ぐ。その目にうっすらと涙が浮かんでいるのに気付いた。泣いているというよりは感情が昂ぶり、それが出てきているような気がしたのだ。

何かを心に秘め、思い悩んでいる表情のように見えた。
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