約束
 そのときの彼の笑顔が私の胸に突き刺さる。それは今まで遠くから見てきた木原君の笑顔だったからだ。

 そのとき、以前彼のお母さんが言っていた彼が笑う姿を久々に見たと言っていた意味が分かったのだ。彼は優等生として振舞い続けてきて、その笑顔を見せ続けていたのだ、と。

 あまりに当たり前に私の前で笑うようになってくれらから、彼がそうやって笑うことさえも忘れていた。
< 290 / 546 >

この作品をシェア

pagetop