約束
 振り向くと、そこには横にボーダーの入ったシャツにジーンズを着た晴海の姿があった。そんな格好でも女の子らしく見えるのが彼女のすごさだと思う。

「じゃあ、駅で落ち合わせようか。降りる駅は同じ何だから」

 晴実はそう言うと、百合の腕を掴んでいた。百合も抵抗せずに彼女の後をついていく。
 残された私たちは二人の上っていった階段をのぼり、切符を買うことにした。


 太陽の光を反射させる銀色の車体が駅の構内に入ってきた。そして噴出すような音と共にその車体を塞いでいた扉が一斉に開く。私と木原君は電車に乗り込むと、近くの座席に座った。

 晴実達の姿を発見したのだが、近寄っていこうとすると晴実に一蹴されてしまった。百合はそんな私たちのやり取りをみて笑顔を浮かべ、木原君は苦笑いを浮かべていた。
< 298 / 546 >

この作品をシェア

pagetop