約束
「えっとさ、ありがとうって何?」

「俺も君のこと好きだから」

 言われた瞬間は意味が分からなかった。でも、理解して顔が赤くなる。

「私の彼氏になってくれるってこと?」

「君が許してくれるなら」

「許すなんて、そんな。本当にいいの?」

 舞い上がり、自分でも何とか言葉を口にしている程度だった。
 彼が私の言葉にうなずいている。

 まさか私と同じ気持ちでいてくれるとは思わなかった。夢だと言われても、すぐに納得できるほど。もちろん、彼のお母さんが病気なので喜んでばかりはいられないのは分かっている。

「戻ったら、どこか遊びに行こうか」

 彼は頬を赤めながらそう告げた。

 私は何度も頷く。

 彼と話をするようになって四ヶ月弱。やっと普通に友達として話せるようになってきたけど、その距離は私の想像以上に狭くなっていたのだ。

 人が通りかかり思わず手を離してしまったが、それでも全く悲しくはなかった。
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