約束
 彼の足が止まったのは大きな家の前だった。まず驚いたのが家の敷地の広さだった。私の祖母の家もそこそこの広さだったが、彼の家はそれより広く感じた。

 そのことを木原君に言うと、祖父母から受け継いだ家の上、田舎で土地が安いからだと答えていた。

 彼がチャイムを押すと、すぐにインターフォンにオレンジのランプが灯る。

「俺だけど」
「ちょっと待ってね」

 インターフォンのライトが消えた。

 その代わりのように、玄関の扉が開き、木原君のお母さんが出てきた。今日は白のシャツに茶色のタイトスカートをはいていた。

 彼女は私を見ると、笑顔を浮かべる。

「来てくれてありがとう。上がっていってください」

 本当はそうしたいし、木原君のお母さんと話もしたいけど、晴実達のことを考えるとそういうわけにも行かない。
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