約束
「物理だから、天文とかもそっちだね。頑張ってね。相当難しそうだけど」
彼女は肩から垂れてきた髪の毛を指先で弾く。
「この近くにある国立大学に覗きに行っていい? そこの農学部を受けようかなと考えているの」
「晴実は農学部なんだ」
「うん。植物の研究とかやってみたいなって思ってさ」
今まで具体的に彼女が何かを言ってくれたことはなかったので、初めて聞く話だった。
この前、高校に入学したばかりだと思っていたのに、いつの間にか半分近い時間が流れ、私を含め、それぞれの道を決めようとしている。少し寂しい気がするけど、それが高校生という時間なのかもしれない。
そのとき、襖が開き、百合が入ってきた。彼女は青色の花をあしらったガラス容器に麦茶が入ったお盆を手にしている。彼女はそれをテーブルの上に置く。
「今からご飯を作るから、ちょっと待ってね」
そのとき、百合の持っていた黒の旅行バッグから音楽が聞こえる。百合はその鞄から荷物を出していた。だが、その彼女の表情が一瞬固まっていた。私は今朝見た百合の顔を思い出す。
彼女は肩から垂れてきた髪の毛を指先で弾く。
「この近くにある国立大学に覗きに行っていい? そこの農学部を受けようかなと考えているの」
「晴実は農学部なんだ」
「うん。植物の研究とかやってみたいなって思ってさ」
今まで具体的に彼女が何かを言ってくれたことはなかったので、初めて聞く話だった。
この前、高校に入学したばかりだと思っていたのに、いつの間にか半分近い時間が流れ、私を含め、それぞれの道を決めようとしている。少し寂しい気がするけど、それが高校生という時間なのかもしれない。
そのとき、襖が開き、百合が入ってきた。彼女は青色の花をあしらったガラス容器に麦茶が入ったお盆を手にしている。彼女はそれをテーブルの上に置く。
「今からご飯を作るから、ちょっと待ってね」
そのとき、百合の持っていた黒の旅行バッグから音楽が聞こえる。百合はその鞄から荷物を出していた。だが、その彼女の表情が一瞬固まっていた。私は今朝見た百合の顔を思い出す。