約束
第十七章 交錯する想い
翌日、私達は電車で少し離れたところにあるショッピングモールに買い物に行くことになった。家を出たのが昼前。百合のおばあちゃんは知り合いの家に行くらしく、私達は昼食も外で済ませようという話になっている。
「切符はどこまで買えばいいの?」
晴実は切符売り場の上に掲示されている料金表を見つめながら、百合に問いかける。彼女もあまり詳しくなかったのか、眉をひそめ料金票を眺めていた。
「多分、ここまでかな」
彼女の指先が、料金所のところにある駅の名前を押したとき、百合の名前を呼ぶ男の人の声が聞こえた。
私は思わず振り向いていた。
そこに立っていたのはグレーのシャツに黒のパンツをはいた、体格の良い男性だ。彼は私達と目が合うと、優しく微笑んだ。だが、その目には強い意志を秘めているように感じ取れる。瞳と、顔の輪郭、通った鼻筋に薄紅色の唇を見て、彼が誰か分かってしまった。
百合は彼を見ても喜ぶことなく、頬をわずかに膨らませると顔を背けていた。
彼が百合に言葉をかけようとしたとき、聞き馴染みのある声が耳に届く。駅の改札口からもう一人、見慣れた人がやってきたのだ。
「一馬さん?」
私は驚き、彼の名前を呼んでいた。
「切符はどこまで買えばいいの?」
晴実は切符売り場の上に掲示されている料金表を見つめながら、百合に問いかける。彼女もあまり詳しくなかったのか、眉をひそめ料金票を眺めていた。
「多分、ここまでかな」
彼女の指先が、料金所のところにある駅の名前を押したとき、百合の名前を呼ぶ男の人の声が聞こえた。
私は思わず振り向いていた。
そこに立っていたのはグレーのシャツに黒のパンツをはいた、体格の良い男性だ。彼は私達と目が合うと、優しく微笑んだ。だが、その目には強い意志を秘めているように感じ取れる。瞳と、顔の輪郭、通った鼻筋に薄紅色の唇を見て、彼が誰か分かってしまった。
百合は彼を見ても喜ぶことなく、頬をわずかに膨らませると顔を背けていた。
彼が百合に言葉をかけようとしたとき、聞き馴染みのある声が耳に届く。駅の改札口からもう一人、見慣れた人がやってきたのだ。
「一馬さん?」
私は驚き、彼の名前を呼んでいた。