約束
「決定。これで木原君が嫌じゃないなら一緒に住みましょう。木原君の親の許可も得ないといけないけどね。悪いとかそういうのは一切なしだからね」

 姉の言葉に木原くんは顔を綻ばせる。喜んでいるというよりは困ったような笑顔だった。だが、彼の笑顔が意外と幼くて、可愛いかった。

 しばらく経って私の父親と木原くんの両親がやってきた。木原くんの両親はもともとの顔のつくりが違うんだろうなって思うほど綺麗な人だった。


 木原くんのお父さんは体つきががっしりとしていて、彫りの深い顔立ちをしていた。


お母さんは童顔で可愛らしい人だった。高校生の息子がいるようには見えず、お姉さんのようにも見える。木原君の顔はどちらかといえばお父さん似のようだった。

 戸惑う彼の両親とは違い、父親は満足そうだった。

 木原君の父親と私の父は大学の同期らしい。


息子が地元の国立大を志望していることもあり、こちらに残るなら必然的に一人暮らしをさせようと思っていたが、心配の種は彼が家事などが一切できないことと、朝一人で起きられないらしい。

木原君がベッドからなかなか出ようとしない姿なんか想像できなかった。


 それを父親に世間話の一環として父親に相談したらしい。その父親が言い出したのがとんでもない同居の話。

同じ学校の娘もいるからなじみやすいだろうとか話をしていたらしい。

木原君の父親はもちろん断ったらしいが、私の父親が強く勧めたらしい。
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