約束
「大丈夫?」

「大丈夫だよ」

 彼の過去はどうすることもできない。でも、これから二度と彼を悲しませずにすむことはできるんだろうか。

 その答えを求めるために、ゆっくりと二歩だけ歩いた。彼との距離が狭まる。目の前に穏やかな笑顔を浮かべている彼の姿があった。私をそっと抱き寄せてくれた。

「これから、名前で呼んでいい?」

 私は彼の胸の中で頷いた。
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