約束
一馬さんはもう少し向こうに残るらしく、一緒には帰ってこなかった。彼も百合に合わせる顔がなかったのだろう。百合は一馬さんが別に帰ることに、肩の荷を降ろしているように見えた。百合のお父さんはその少し前に家に戻っていた。
私たちが駅を出ると、辺りはもう闇が落ちていた。晴実と百合を家の近くまで送ってから、帰宅の途につく。
帰りがけに木原君はぽつりと言葉を漏らす。
「一馬のお母さん、百合のお父さんと再婚するらしいね」
「他に何か言ってなかった? 結婚して欲しくないとか、反対しているとか?」
「やっと再婚してくれてよかったって」
「百合に未練ないのかな」
「あいつの性格を考えたら、吹っ切ったと思うよ。北田が妙な意地を張らなきゃよかったのにな」
「そういえば気づいていたんだよね? 百合が彼のことを好きって。どうして?」
「なんとなく。見ていたらそんな気がした。北田はなんだかんだ言っても、いつも一馬のこと気にしていたから」
私たちが駅を出ると、辺りはもう闇が落ちていた。晴実と百合を家の近くまで送ってから、帰宅の途につく。
帰りがけに木原君はぽつりと言葉を漏らす。
「一馬のお母さん、百合のお父さんと再婚するらしいね」
「他に何か言ってなかった? 結婚して欲しくないとか、反対しているとか?」
「やっと再婚してくれてよかったって」
「百合に未練ないのかな」
「あいつの性格を考えたら、吹っ切ったと思うよ。北田が妙な意地を張らなきゃよかったのにな」
「そういえば気づいていたんだよね? 百合が彼のことを好きって。どうして?」
「なんとなく。見ていたらそんな気がした。北田はなんだかんだ言っても、いつも一馬のこと気にしていたから」