約束
第十八章 望むべきもの
 私は目の前の人を見据えると、唇を軽く噛む。

 店の中には最近よく耳にする流行曲が流れ、私のこれから言おうとしている会話を打ち消してくれる気がして、背中を押される。

 頼んだオレンジジュースに口をつけないわたしとは相反し、彼は手元に届いたコーヒーに早速口を付ける。彼の視線は多くの人が行き交う窓の外に流れていた。

「君は今日から補習じゃなかった?」
「サボりました」

 補習の後半の一日目が終わったあと、木原君から一馬さんが戻ってきたことを聞いた。私はその日のうちに彼に連絡をし、翌日会う約束をしたのだ。

「あいつが聞いたら呆れるかもな」
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