約束
 彼女という響きに照れてしまっていた。私は鏡で自分の姿を確認すると、親に友人の家に行くと言い、彼と一緒に家を出る。

木原君と一緒だからか、特に何も言われることはなく、遅くなるようなら連絡をするようにとだけ言われた。

 木原君は一馬さんに電話をしていた。自分達が迎えに行くから、一馬さんにはまっていろと伝えるためだ。

 電話を切ると百合の家に急ぐことにした。

 彼女の家は和の赴きの祖母の家とは一変し、洋風の家だった。

 茶色のインターフォンを押すと、すぐに玄関の扉が開き、タイトスカートに白のシャツを着た少女が飛び出してきた。今日は長い髪の毛を横で一つに縛っている。

 彼女は困り果てた顔で、黒色の柵を開けてくれた。

 彼女に急かされ、家の中に入る。彼女は私達にリビングの中に入るように言うと、階段の影に隠れてしまった。

 状況が飲み込めない私とは異なり、木原君は何か考えるところがあったのか、私の肩を軽く叩く。
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