約束
「どうせ原因は一馬のお母さんだから、中に入ろうか」

 私は首をかしげながらも部屋の中に入ることにした。だが、扉を開けると、思わず声を上げる。

そこには今日、いろいろ話をした女性がソファにすわって腕組みをていたのだ。部屋の中には百合のお父さんがいるくらいだった。

 彼女は立ち上がると、リビングの入り口までやってくる。

「はじめましてじゃないわね。今日、二度目かな。由佳ちゃん」

 私は木原君を見た。

「一馬のお母さんだよ」

 私は当の本人にあれこれ言ってしまったことになる。彼女はもちろん百合の気持ちを知っているわけで。
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