約束
「部屋に戻っている?」

 私の言葉に百合は首を横に振る。

 二分ほどで、玄関のチャイムが鳴る。私が扉を開けると、一馬さんがいつもより息を荒げた状態で立っている。

 一馬さんの視線が、一度家の中に向かい、すぐに私を見た。

 百合の姿を見つけたのだろう。彼が靴を脱いでいるときに百合を見たが、百合は一馬さんと目を合わせようとしない。
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