約束
 一馬さんのお母さんはリビングにいると伝えると、彼は「ありがとう」と言葉を残し、リビングに入っていく。

 私は百合の肩を叩く。

「部屋に行こうか」

 彼女は首を縦に振る。

 私たちが階段を上がろうとしたとき、リビングの扉が開く。木原君がリビングから出てきたのだ。彼であったことにほっとしたのもつかの間、眉をひそめると、リビングの扉を閉めてしまった。

「北田に大事な話があるからって呼んでいるんだけど」

 百合はため息を吐くとリビングに入っていく。私と木原君は目を合わせ、後に続いた。
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