約束
「これでも再婚に賛成する? 多分、百合ちゃんは再婚したら、それで自分の気持ちを終わらせるつもりだと思う」

「百合への気持ちは片思いだと思っていたから。だから諦めるためにって」

 一馬さんはそう言うと黙ってしまった。

 一馬さんのお母さんは優しく微笑んでいた。だが、彼女は真顔に戻ると、腕組みをする。

「でも、こうなったそもそもの発端は一馬なのよね。相談した翌日に百合ちゃんに諦めるって伝えるなんてね。そもそも私と信明さんは付き合ってもないのに」

「だって再婚って」
< 376 / 546 >

この作品をシェア

pagetop