約束
 彼とつきあっていることは学校や家では内緒にしている。照れ臭いのと、なんとなく木原君を好きな子に知られたくないと思ってしまったからだ。

 木原君の誕生日は家でケーキを食べたけど、そのままタイミングを逃してしまいプレゼントのことを言いだせなかった。だからその分をクリスマスで心持ち挽回しようと思っていたが、ほしいものを聞いたら別にないと言われてしまったのだ。

 またジュースを口に含むと、ストローが底に触れた。

 それを晴実につげると彼女は苦笑いを浮かべる。

「木原君ならいいそう。悪いとかじゃなくて、本当にほしいものとかなさそうなイメージ」
「だよね」

 彼がほしがるもののイメージがわかない。

「難しく考えないで食べ物にしたら? それなら邪魔にならないし」
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