約束
「奈々さんが若いから、紹介はしにくかったんだよ。ただの後妻というだけならともかく事情が複雑だからね。母さんは何度か彼の家に行ったことがあったけど」

「ずっと気になっていたんだけど、お父さんが木原君をこの家に呼んだのはそのことがあったからなの?」

「それもあるよ。雅哉君の前で本当の母親の話題をすることをどうしても避けていたんだ。だが、これからはそういうわけにもいなかくなる。

かといって家を借りてしまうとお金がかかるし、いざ向こうに住みたいと思っても、身軽に転校できなくなる。だから、この家に住んだらということになったんだよ。

彼が一人で悩んでいるとき、いつでも彼の両親に教えられるし、話し相手にもなってあげられると思ったからね。結果的にそれがよかったのかは分からないけど、毎週自発的に向こうに戻っていることを考えると、よかったのかもしれない」
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