約束
「親公認の仲だから一緒に暮らしているって話? ありえないんじゃないの? だって、木原君に田崎さんじゃつりあわないもの」

「だよねえ。男に少し人気があるって言ってもね。万が一つきあっているとしたら、言うこと聞いてくれそうだからじゃないの? 男に人気があるのもそういう理由だろうし」

 二人はそんな言葉を交わすと笑っていた。

 木原君と暮らしだしてから、私に関するそんな話を聞くことは珍しいことではなくなっていた。表立って文句を言えないからか、人のいないところであれこれ言われているのは知っていた。だが、そういう会話を聞いてしまうと、さすがにショックもある。

「いいなりか」

 誰にも聞こえないほどの声の大きさでそう呟く。現実にそういうタイプなのかは自分でも分からないが、そう見られるのかもしれない。

「田崎さんに渡してもらえばチョコレートを受け取ってもらえるのかな」
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