約束
 翌日、昇降口であの二人に出くわした。

 二人は顔を見合わせると、互いにうなずき合っていた。そういうときに聞くのはいつも原由布子の役割だった。

「いつも仲が良いけど、二人ってつきあっているの?」

 その彼女たちの言葉に重なるように、昨日の言葉が響いてくる。唇を噛んだ。

「つきあってないよ。ね?」

 私は同意を求めて彼を見た。

 彼は少し顔を強張らせていたが、頷いていた。
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