約束
 振り返ると、百合と晴実がいた。

 冷めた顔つきをしている百合とは対照的に、晴実はびっくりしたのか、私の少し後方の、あの二人組みが立っていた場所をじっと見ている。

 百合は私と木原君を順に見ると、木原君の背中を押す。

「先に教室に行っていて。私、由佳と話がしたいの」
「分かった」

 さっきまで不快感をあらわにしていた彼から、そんな表情が消える。
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