約束
 二人とも名前は知らないが、顔は知っている。一人は髪の毛を後方で結っていて、もう一人は肩の付近まで髪の毛を伸ばしていた。


身長は小柄で私と同じくらいだろうか。

 髪の毛を結んだ子が私を睨む。

「あなたってさ木原くんと付き合っているの?」

 淡々と、でもどこか不快感を込めたような声。彼女は木原くんを好きなのだろうと声から察しがつく。

 誰かから言われるかもしれないと予期していた言葉をまさか放課後になってから聴くとは思わなかった。

今日、興味本位な視線を送ってくる人はいたが、気にしないように、視線を合わせないように一日を過ごした。

そして無事に一日を終えたと思っていたからだ。

 射抜くような視線に身じろぎする。

「付き合ってはいないよ」
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