約束
 彼女に警戒心はあったが、親しげに話しかけてくれる彼女と話す機会は自ずと増えて行った。



 四月も下旬になってくると、大方グループのようなものが出来上がる。私は希実とほとんどの時間を過ごすことになった。木原君とのことが気になりながらも、話しやすい子ではあったのだ。


「東京の大学を受けるの?」

「そうそう。私立はこっちを受けろといわれているんだけどね」

 彼女は私に自分の志望校を聞かせていた。彼女の志望校は地元の大学ではなく、東京の大学。そのことにほっとする。少なくとも大学に行けば彼女の存在が木原君との距離が離れるからだ。
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