約束
 私だって木原君の夢を叶えてほしい。

彼がどれ程努力をしていたか知っているのだ。

でも、それは彼が自発的に言ってくれるという前提があるからこそだった。その時、私は悟ったのだ。

私の好きと木原君の好きの大きさは決して同じではなかったのだ、と。木原君にとって私は何でも言える存在ではなく、先に中学の同級生に志望校の変更を伝えるくらいの関係。

同時に、そう考えて彼の夢を応援できない自分の心が疎ましくて堪らなかった。
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