約束

「どうして一緒に帰ったの?」

 彼女たちは昨日の理由を聞きたいんだと理解した。友達でも一緒に帰ることはあるとは思う。

私と彼が前から親しかったら、そんな言葉を向けられることはなかったのかもしれない。

だが、昨日まで彼と話をしたことさえなく、友達でもない。そう思われるのも当然だ。

 だが、バカ正直に、お父さん同士が知り合いで一緒に住むことになったからなんて言ったら、間違いなく彼女達の視線が余計に鋭くなるだろう。

「それは」

 とりあえず、そんな視線から逃れたくて、そう言葉を発した。だが、続きを言えなかったからか視線がよけいに鋭くなっていくのを感じる。

 絶対に言えない。私だったら、彼が他の子と一緒に住むなんて考えるだけでも嫌だから。それは他の子も一緒だと分かったからだ。
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