約束
 私は寝不足の目をこすると、窓の外を眺めた。昨日、あれからほとんど眠れなかったのだ。

でも、木原君と違う一日を送る勇気はなく、いつものように顔を合わせ、学校まで一緒に来た。

「長崎先輩、桃子先輩がいるのに向こうで女を作ったんだって」

「え? だって一ヶ月くらいしか経ってないよね」

 他愛ない野次馬な話が私の耳に届く。

 例年だと夏休みくらいから、卒業した先輩の後日談がよく耳に入ってくるようになる。そのほとんどが進学先の大学についての話と、恋愛の話だった。

高校から有名だった恋人同士が破局して、だめになったという話も山ほど聞く。でも、たまに早い間にそういう話が入ってくる。

 どうもその新しい恋人が同じ高校で、桃子先輩の友人だったということで話が盛り上がりを見せているようだ。
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