約束
 私は廊下の窓辺にたたずむ人の姿を見つける。幸い、彼の周りには誰もいない。

「いい天気だね」

 彼は私を見ると呆れたように笑う。

「何かあった?」

「何でもない」

 彼は他愛ない話を私に聞かせてくれた。でも、その話に木原君の名前が出てこなかったのは、やっぱり顔に出ていたんだろう。
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