約束
 「最近、顔色悪いね」

 私を見て、希実がそう口にする。

「そんなことないよ」

 私は曖昧な笑みを浮かべる。木原君のことを考えてしまった時はいつもそうだ。寝つけず、夜中に何度も目が覚めてしまう。

 私はテキストをまとめて立ち上がる。次の化学は移動教室になっていた。
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