約束
「あんたなんて相手にされるわけないのに勘違いしないでよ。たいして可愛くもないのに」

 その言葉が、昨日浴びせられた言葉と重なり、唇を噛む。昨日の声の正体が誰なのか気づいた。

「ちょっとあなたたちいい加減に」

 晴実は立ち上がると、二人を睨んでいた。彼女達は晴実の態度に身じろぎしていた。

 私と違い、男女問わずに友人の多い彼女を敵に回したくないと思ったのかもしれない。

「いいよ。本当のことだから」

 私はそう晴実を諌めた。争いごとを起こしたくないという一心からだった。
 他の人がそう思う気持ちは分からなくもない。

 私は自分の顔が好きじゃない。母親譲りの童顔も、小柄な身長も。

 彼女みたいだったらそんなことも言われなかったのかもしれない。そう、いつも木原くんの傍にいる北田百合さんみたいに。
< 43 / 546 >

この作品をシェア

pagetop