約束
 家に帰り、気持ちを落ち着ける。そして、制服を着替えると、彼に買ってもらったマスコットを鞄からはずした。それを抱きしめると机の上に置く。

 私は木原君の隣の部屋をノックした。ドアを開けた彼は、私の姿を捉え、笑みを浮かべる。遠くから見ていた時に何度も見た、優等生としての笑顔。

「話があるの」

 そういうと、彼は私を部屋に入れてくれた。

 余計なことを言わないように、単刀直入に言葉を伝える。

「別れようか。これから受験で互いに忙しいからさ。木原君とつきあってすごく楽しかったけど、もう終わりにしたいと思うの」
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