約束
そんなことを言いながら、期待をしていたのかもしれない。彼がそんなことを言わないでくれと言ってくれるのを。そう言ってくれたらまたやりなおせそうな気がした。

 だが、彼は私から目をそらす。

「分かった」

 彼の言葉が心に圧し掛かる。自分から言い出したのに彼の言葉にショックを受けていた。

 目から涙が溢れてきそうになる。それを堪えるために唇を噛む。

「家は近いうちに出て行くから」

「いいよ。それは」
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