約束
そんなことしたら両親も彼の両親も困るだろう。それに彼に別れを告げても、それでも彼とのつながりを心のどこかで求めていた。

 だが、彼はその一週間後、家を出て行ってしまった。私には出て行く前日に教えてくれた。

私に気遣ったのか、彼自身が居心地が悪かったのかは定かではない。両親も姉も彼を名残惜しそうに見送っていた。

 行き先も分からない。ただ、一馬さんの家に行ったんだろうということはなんとなく分かった。木原君がいなくなってから、私の家がこんなに広かったんだということを今更気づかされた。
< 436 / 546 >

この作品をシェア

pagetop