約束
 私は木原君の話が聞こえなくなったことに、ほっと胸をなでおろした。

 肌寒さを感じ、コートを上から羽織る。これからまた一気に気温が下がるんだろう。そう思った時、教室の扉が開く。扉のところには見慣れた二人の少女がたっていた。

「ごめんね。遅くなっちゃって」

 晴実は軽い足取りで私のところまでやってきた。その後ろを百合がついてくる。二人とも先生に分からないところを聞きたいらしく遅くなると言っていたのだ。

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