約束
「ありがとう」

 私は頭を下げる。

「別に。ああいう人たちが大嫌いだからそう言っただけ。あなたを助けたかったわけじゃないわ」

「それでもありがとう」

 彼女はそう、とだけ言うと、私たちに背中を見せて歩いていく。

「北田さん、格好良いね。もっとわがままな人だと勝手に思っていたよ」

「そうだね」

 私ももっと性格がきつい人なのではないかと勝手に思っていた。人が困っていても、手を貸すイメージもなかった。
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