約束
「成績もいいし、運動もできるし、何か完璧な人ってイメージだよね。家も金持ちなんだってね」

 晴実はお手上げだと言いたいのか、肩をすくめて苦笑いを浮かべている。

 私も晴実には全面的に同意だった。

 そのとき、私の机の上においていた携帯が震える。発信者を確認した私の胸が高鳴った。


 通話ボタンを押すと、携帯を耳に当てる。

 昨日番号を教えて、かかってくるのは初めてだった。

「今日時間ある? 良かったら買い物に付き合って欲しい」

「買い物?」

 私は声を出して。我に返る。

 案の定、晴実は興味深そうに私の顔を覗き込む。彼女は誰から電話がかかってきたか気付いたのだろう。
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