約束
 これが今の私なりの答えだった。奈々さんは私の返事に嫌な顔をするわけでもなく、笑顔で応えてくれた。

 私達がコーヒーを飲み終えたとき、玄関の開く音が聞こえる。

「このことは二人だけの秘密、ね」

 私は彼女の言葉に頷いた。

 木原君と一馬さんがリビングに入ってきた。木原君の手にはケーキ屋の箱が握られている。

 私と木原君が隣に座ることになり、少しくすぐったかった。

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