約束
 少し遅れて木原君のお父さんが帰宅した。彼は突然にぎやかになった家に驚きを隠せないようだった。

 木原君のお母さんは泊まっていけばといっていたが、さすがにそれはいけない気がして、夕食前に帰ることになった。

 木原君は今日まで泊まる予定だったが、予定を切り上げ私と一緒に帰ることになった。


 電車を降りる頃には辺りは闇に落ち、街頭が照らすだけだった。朝が早かったからか電車の中で少し眠ってしまっていた。

 辺りを流れる風も体の熱を芯から奪ってしまうのではないかと思うほど冷たいが、眠気覚ましにはちょうどいいかもしれない。

 駅を出ると、一馬さんが私を見る。

「今回はいろいろ教えてあげたけど、今度からは全部雅哉に聞けよ」

「そうします」

「聞いたって何を?」
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