約束
 私と木原君は目を見合わせていた。一応、つきあっていた事自体を隠していたつもりだったのに。

 姉はそれを言いに来たのか、階段を降りていく。

 私達も階段を下り、リビングの扉を開ける。私はそのまま帰っても良いといったが、木原君は両親に挨拶をしておきたいと言ったのだ。

 だが、扉を開けてすぐに姉と目が合い、彼女は私を見てにっこりと笑う。

 何か企んでいる。そう思っても、姉の言葉を制する時間的な余裕はなかった。
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