約束
 私はその日の夜、夢を見た。私と彼が出会った夕焼けの日の夢だ。

「由佳ね、おばあちゃんにひどいことを言っちゃった。おばあちゃんは遠いところで泣いているかもしれないのにごめんなさいできないの」

「きっとおばあちゃんは泣いても怒ってもいないと思うよ」

 泣きじゃくる私をなだめるために彼はそう言ったんだろう。

 私は彼の言葉を素直に受け止められずに首を横に振る。

「僕がおばあちゃんに聞いてきてあげる」
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