約束
「私もそう思う。あの人が他の子を好きになるって、想像できないから」

 百合はそう言うと、穏やかに笑っていた。

「でも、これで計画が台無しだね。まあ、よかったといえばよかったのかな」

 晴実は首をかしげながら、百合と目を合わせる。

「計画?」
「卒業旅行に彼を内緒で連れて行って仲直りをさせようと思っていたの。だから一馬さんを連れて行くという案があがっていたんだ」

 と晴実が教えてくれた。

 別れたといっていたのに仲直りという言葉が出てくることがなんだか不思議だった。二人の中で私は喧嘩をしたことになっていたんだろうか。

 わたしは野木君が旅行について触れた時に言っていた事を思い出す。

「それって野木君も知っているの?」
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