約束
「由佳と木原君以外は知っているよ」

 晴実の視線が私の鞄に向く。

「これも復活したんだね」

 鞄につけている木原君にかってもらったマスコットだ。

 私は晴実の言葉に笑顔を浮かべていた。


 二人とは別に野木君にもそのことを伝えておいた。教室内で話す話題ではなかったので、廊下に呼び出して、そこで話をした。彼は嫌な顔一つせずによかったな、と言ってくれた。驚いた様子はなく、一馬さんから既に聞いていたらしい。

「いろいろ迷惑かけてごめんなさい」
「全くだよ。二度とそんなことがないように気をつけろよ」
「ありがとう」

 彼は私を見ると、笑顔を浮かべていた。

 そのとき、チャイムが鳴る。私達は一緒に教室に入ることになる。こういうことももうこれから数えるほどになるんだろうか。志望校に受かれば同じ大学には通えるが、大学ってどんなところなんだろう。
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