約束
 学校が終わると、木原君が教室まで迎えに来てくれていた。その日のうちに私と木原君のことの噂が広がってしまっていた。もう隠しても無駄だと野木君に言われたため、私は彼と付き合っていることを認めていた。

 彼と一緒に靴箱を出ると、冷たい風が頬を掠める。

 木原君はほんのりと頬を赤くして、言葉を漏らす。

「俺さ、君を彼女だと言えて嬉しかったんだ。君が隠したがっていたのは知っていたけどね。友達には散々文句を言われたけど」

「女の子の友達?」

「いや、男」

「そっか。何か大変そうだね」
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