約束
彼の言おうとしている意味がよく分からずに首を傾げる。でも、嬉しいと思ってくれていたんだと思うと、心の中があたたかい。
「今、どこに住んでいるの?」
「一馬の部屋」
「家に行っていい?」
「いいよ。何もないけど。一馬も喜ぶよ」
私は彼に連れられて、一馬さんと木原君の暮らすアパートに行った。二人で暮らせるように大学から少し離れてはいるが、広めの場所を借りたらしい。
彼の部屋は私の家にあったものをそのまま運んだだけの、とてもシンプルな状態だ。
木原君を起こしに家に立ち寄ったり、一緒にご飯をつくったりといった生活に未練はあった。でも、未来にその楽しみはとっておこうと思った。
好きだから不安になるのかもしれない。でも、彼のことが好きだから安心できる。少しずつ私の気持ちがそう変化していった。