約束
「またな」

 彼は再開の約束の言葉を私に伝えた。彼の姿は先ほど駅にいた人たちのように、電車の中に収まる。

 私は笑顔を浮かべ、手を振った。

 電車のドアが閉まる。彼ともう一度目が合ったと思った瞬間、ゆっくりと動き出す。そして、あっという間に車体が駆け抜けていく。まるで私と彼の出会ってからの時間を示しているようだった。

 あっという間で、遠くで見ているよりも辛いことが多かった。彼に会ったことを後悔したこともあった。彼に関わらなければ、普通に高校を卒業しただろう。

でも、彼がいたから、泣いたり笑ったり、そして元気になれたし、未来を見ることができた。私達の関係はハッピーエンドかは分からない。だが、私は彼に出会えたことを心から感謝していたし、後悔はしないと誓った。

 新しく増えた宝物を少しだけ日にかざす。すると、その宝石は太陽の光を受け、輝いていた。
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