約束
 私と晴実ばかりが映っていて、少し離れたところに百合が立っている。百合は写真が嫌いなので、そんな構図になってしまった。写真を撮ってくれたのはほとんど一馬さんで、木原君と野木君はあまり積極的でなく、私達と少し離れたところにいて、話をしていた。

「これね。うつりがいいものをいくつか記録したよ」

 百合は私と野木君にデータの入ったディスクを渡す。

 私達はそれを受け取る。

 しばらく経って運ばれてきたシュークリームに顔を綻ばせる。

 笑っている友達がいて、楽しいと思える時間。

 私は首もとで輝くネックレスに手を伸ばす。

 木原君とこうした日々を送ることはあまりできない。

 思い出を作る機会は少なくなるし、彼が傍にいないことを寂しいと思う。
< 531 / 546 >

この作品をシェア

pagetop